…真面目にゲームについて考えるコーナーです。つまらないかはともかく、 長くて堅っ苦しいので、暇な人だけ読んでください(>_<)。
極論から言わせてもらえば、声優は必要ではない。 この意見には様々な反発があるだろうし、 「草柳順子さんのファン」「かわしまりのさんのファン」という自分を否定しかねない。 でも、はっきり言わせてもらいたい。声優は「必要」ではないのだ。
今から10年ほど前、スーパーファミコンの末期あたりから、 ゲーム声優というものが出てきたのではないかと、僕は認識している。 ただ、その頃からしばらくは「ゲーム声優」という独立した職業はなく、 アニメでお馴染みの声優さんが、そのままの名前でやっていたり、 (主に18禁で)名前を変えてやっていたりするのが通例だった。 実際に超ヒット大作「サクラ大戦」などに代表されるように、 超有名声優の起用＝ヒットという図式が一般的だった。 そういう業界の流れがあった90年代は、 ゲーム声優にとっては暗黒時代であったのかもしれない。
ところが、90年代末期から我らが(?)「美少女ゲーム」が台頭し、 それからというもの、「ゲーム声優」にも光が当たり始めたのだ。 キャスト名が変な名前だったり、非公開だったり… そういう風潮が一掃されてきたのがこの頃だ。 今では、一色ヒカルさん、かわしまりのさん、草柳順子さん、北都南さん、等等… 声優さんはゲームには欠かせない存在となっている。
しかし、業界全体が潤っているか、といえばそうではなさそうだ。 メーカーは乱立し、老舗メーカーといえども安泰とは言えない。 むしろ、老舗メーカーですら手探りの状態にあるんじゃないだろうか。 となると、浮いたお金で音声に力を入れている、という話ではない。 逆に、安定したヒットを挙げるために、人気声優を起用し、 声優人気にあやかっているきらいがあるのではないだろうか。
そう、現在の業界の状況は、 僕の持論とは大きくかけ離れているのである。
そこで、やはり同時期から始まった「キャラ萌え」という概念が、 キーワードになっているんじゃないかと思う。 第二回でも述べたように、現在の主流は一本筋の通ったシナリオの中で キャラを見せていく、というのではない。 逆に「萌えキャラ」を数多く配置して、それを中心にした各キャラクターの サブシナリオ集的な作品が主流なのではないだろうか。 そこには、よりしっかりキャラの立った作品＝ヒット作品というシステムが あるのではないだろうか。
それを前提としたとき、初めて「ゲーム声優」が「必要」になってくる。
マリオのCVが誰か知っているか? ピーチ姫のCVが誰か知っているか? おそらく、殆ど全ての人は、この問いに回答できないだろう。 あれだけ有名なゲームキャラクターなのに、である。 つまり、スーパーマリオのようなゲーム性重視のゲームであれば、 マリオのような最低限の設定しかないキャラならば、 ゲーム声優は「必要」ではないのである。 美少女ゲームで例を挙げるならば…「英雄×魔王」は 一色さん、かわしまさんを始め、けっこう豪華な声優陣であったが、 僕にとっては正直どうでもよかった。 声優さん達の演技が、ではない。買うに当たって、それほど重要ではなかった、ということである。 他にも「空帝戦記」などで知られるエウシュリーが音声に力を入れているか？ と言えば、正直な話、そうではない。 あれだけの人気ブランドでありながら、 こと音声面に関しては、他のブランドのゲームに見劣りするのが実情である。 このように、美少女ゲームであっても、断然ゲーム性やシナリオを重視したものであれば、 声優のウェイトは多少(個人差はあるが)落ちるのである。
ところが、前述のとおり、現在の美少女ゲームは完全にキャラ重視が主流である。 となれば、キャラにぴったりの声を当てることにより、 そのキャラは更に具現化され、萌え、ヒットに繋がるということになる。 そして、そういった「萌える」声を出せる人気声優を多く起用すれば、 よりヒットになる、という式が成り立つ(実際はちょっと違うと思うが)。 すると、どの作品を見ても、似たようなキャスティングになってしまうのである。 今やキャスティングが3、4人かぶっているのも珍しくない （例えば「つよきす」と「_summer」などは5人かぶっている）。 これはファンの一人として辛い話である。 こういった様子を見ると、本来夢を与えてもらうゲームに 現実を見せ付けられたようで「やっぱり商売なのか」と肩を落としてしまう。
来年あたり、ゲーム業界における声優ブームも沈静化し、 新たなウリが提案されていくのではないかと思う。 アニメ業界がそうであったように、「軒並み人気声優」という状況は 確実にファンが食傷していくし、長く続くとは思えない。 もし、そうした時代が来たときに、どうなっていくのか。 ファンとしては不安なところである。 僕は草柳さんやかわしまさんを応援し続けるつもりだが…。